株式会社の役員変更の手続について

株式会社の役員(取締役、監査役など)

まず基本的なこととして、株式会社の役員の種類について説明いたします。

株式会社の役員はおおよそ、取締役、監査役、会計参与、執行役の4種類です。通常、中小企業ですと取締役と監査役の2種類のみの設置が多く、たまに会計参与を置いている会社も見かけますが、会計参与になるためには税理士資格等を保有しているなど制約があるので、あまり利用されていません。執行役はほとんどなじみがありません。

代表取締役

代表取締役は、取締役の中から選ばれます。代表取締役は、取締役であって代表する取締役ですよという意味です。

よく、代表取締役と取締役は別で考えている方がいらっしゃいますが、一緒です。代表取締役は取締役なのです。

ですので、取締役としても登記されますし、代表取締役としても登記されます。2つの箇所で名前が登記されることとなります。

取締役、監査役の任期

ごく簡単に言うと、通常、取締役の任期は、約2年、監査役の任期は約4年です。約としているのは、厳密には、例えば、取締役であれば「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」となっているため、前後するからです。

難しく感じると思うので、選ばれた後、2回目の株主総会が終わる時までなのだと考えてもらえればよいでしょう。

任期の伸長

取締役と監査役の任期は、非公開会社であれば、最大10年まで伸長することができます。

ですので、多くの中小企業では、任期を10年に伸長しています。

役員変更を定期的に行うとコストがかかりますので、任期を10年にしてコストを削減すると良いでしょう。

あまりに長く忘れてしまうので、当事務所では、こちらから、ご連絡するようにしています。

シンプルな会社

会社の登記事項証明書をご覧になった時、取締役会設置会社、監査役会設置会社となっていらっしゃる方はございませんか。

取締役会設置会社ですと最低4名の人員が必要となります。4人いないとだめですということです。

昔は、取締役会設置会社が基本だったのですが、平成18年に会社法が施行されてからは、

取締役会を設置せず、取締役1名監査役1名の会社や取締役1名だけの会社が主流になってきました。

このような会社のことを「マイクロ法人」と言ったりするそうです。

もし、取締役会設置会社で人員の不足に悩んでいらっしゃる方は、それらを廃止して、シンプルな組織形態にされるとよいでしょう。

機関の廃止の登記もお任せください。

株主総会・取締役会

取締役や監査役の選任は、通常、定時株主総会で行います。事業年度の途中で新たに役員を追加したくなった場合などは臨時株主総会で行うこともあります。

株主総会の招集手続は、色々ありますが、また別の機会で説明いたします。

役員を選任するための株主総会の決議は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行わなければならない。」とされています。定款で別段の定めをすることもできます。難しいですね。

とりあえず、全員出席して、全員賛成していれば大丈夫です。簡単ですよね。

代表取締役の選定は、取締役会設置会社であれば取締役会、取締役会を設置していない場合は、下記の方法があります。

  • 株主総会
  • 定款の定めるにより取締役の互選
  • 定款の定め

役役員変更登記いつまでに?

会社の登記事項に変更があった場合は、2週間以内に変更登記の手続きを行わなければなりません(会社法第915条)。これを怠った場合、会社法第976条に基づき、100万円以下の過料が発生する可能性があるため、変更があった際は速やかに登記を行いましょう。

役員変更登記であれば、取締役・監査役が新たに就任したケースだと、その取締役・監査役の就任承諾があった日から、2週間以内に変更登記をしなければなりません。

現実には、そうなっていないように思いますが、一応、建前ではそうなっています。

登記申請時の必要書類について

株式会社の役員変更に必要となることがある書類は、おおむね下記のとおりです。全部必要ではなく、場合に応じてです。詳しくは、専門家に相談して下さい。

平成27年2月27日より、役員変更登記申請時の必要書面が変更されました。これにより、役員の変更に伴う登記申請時には「本人確認証明書」が必要となり、代表取締役辞任に伴う登記申請時には「代表取締役等の実印が押された辞任届」と「印鑑証明書」が必要となります。

また、平成28年10月1日より、株主総会を行った後の役員変更登記には、株主リストが必要とされました。

加えて、令和3年2月15日より、株主リストや定款の写しを提出する場合に、それらに押印が不要ということになりました。脱ハンコの一環です。

どんどん変わっていくのでついていくのが大変ですね。

役員に変更が無い場合にも登記が必要

「役員変更登記」という名称により、役員に変更があった場合にのみ登記が必要となりそうですが、役員に変更が無い場合においても、この登記が必要となります。

例えば、役員の任期が満了したものの、引き続き同じ人を役員とする場合でも、役員の改選手続きを行い、登記しなければなりません。これを、役員の「重任」登記と言ったりします。

このように、役員変更の有無を問わず、定期的に役員変更登記を行う必要がありますが、非公開会社であれば、定款の定めにより10年まで任期を伸長することができます。役員変更登記の頻度を減らしたい場合は、任期の伸長もひとつの手段です。

有限会社合同会社その他

有限会社や合同会社は役員の任期がありません。

しかし、役員変更をしなくても良いかというと、そうではありません。役員が辞めた場合(辞任)や、死亡した場合、引っ越しをして個人の住所が変更になった場合など、変更登記が必要です。

また、上記の場合、株式会社でも変更登記が必要なのは同じです。

定期的に行うことがないので、忘れがちですが、注意しましょう。

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